競技としてのスポーツクライミング

フリークライミングが時代とともに進化していく中で、純粋にそのスポーツ性を強調したものがスポーツクライミングです。スポーツクライミングは自然の岩場での冒険的な挑戦にそのルーツを持ちますが、 身体的な可能性を追求していく過程で愛好者が増え、「競技としてのスポーツクライミング」が確立されました。

スポーツクライミング競技の歴史は新しく、1989年に開催されたワールドカップが最初の国際的な規模の正式な大会です。しかし元々フリークライミング人口の多かったヨーロッパを中心に急速に発展し、1991年には世界選手権がスタート、そしてリード種目のみが開催されていた大会も1999年までには現在と同じ3種目が開催されるようになりました。国際スポーツクライミング連盟(以下、IFSC)が認定する公式の競技会で行われている3種目は「リード」、「ボルダリング」、「スピード」となっています。

国内では競技誕生以前からヨーロッパやアメリカの影響を受けたフリークライマーたちが、各地でクライミングの文化を伝えていき、競技確立後も平山ユージが1991年の第1回世界選手権で銀メダルを獲得するなど古くからの強豪国として知られています。現在では多くの世界大会で日本人選手が表彰台に立つ活躍をみせ、2年連続ワールドカップのナショナルランキングで優勝しています。日本の代表選手を決める大会としてはIFSCの加盟団体である日本山岳・スポーツクライミング協会(以下、JMSCA)が主催するボルダリングジャパンカップや日本選手権が開催されており、日本人選手の層の厚さも相まって非常に高レベルな大会となっています。

また、スポーツクライミングは2020東京オリンピックの追加種目として正式に採用されました。世界で初めて五輪種目としてのスポーツクライミング競技が東京で行われることとなり、多くのメダルの獲得が期待されると共に、日本のクライミングシーンも大きなターニングポイントをむかえているといえます。